今まで読んできた本をたどってみる
はじめに
こんにちは。
この記事はWathematicaのアドベントカレンダー、12/10(Sun)の記事です。
このブログを更新していない間にサークルの会計を務めるようになり、合宿を行うなど、様々な出来事がありました。
その流れの一つとして、今回のアドベントカレンダー企画が今年もある、というわけで、つまり立場上何か有用な記事を書かねばなりません。たぶん。
そう考えた時に、B3にもなったし後ろを振り返ってもよいかなあと思ったわけです。知の前線を目指すサークルですが、達成感のためには後ろを振り返りまくることが重要です。復習にもなります。今回の形だとならないけど。
そういうわけで、振り返ってみたいと思います。
B1前期
なにも読んでない!
B1後期
主に読んでたのは以下の二つです。
一冊目はいわゆる赤雪江ですね。
そもそも剰余群がよくわからなかったりとか、準同型定理の意味が全く分からなかったりとか。いろいろ思い出深い本です。演習のブリューア分解に1か月苦しめられたこともありました。ブリューア分解、今見たら研究室のセミナーの本にある。すごい。
夏あたりでWathematicaに入ったので、ゼミで読み進めていった気がします。最初はまあまあなるほどねという感じでしたけど、もう4章くらいになると力尽きてた気もします。ちゃんとしたノートは位数12の群の分類の手前で止まってます。こんくらいでもなんとかなります。数学。
参考になった本で言うとこれはよかったです。赤雪江でよくわからなかったところをこれで見たりもしました。いい本です。独学ならこれ読んでもいいと思います。行間が全くない。(群のコホモロジーのところはちょっとだけあるけど...)
二冊目は略称知らないやつです。
これもゼミで読みました。順番おかしいですが、サークル入って一番最初に読んだ本です。なんか「友達が夏休みで読んだって言ってた」みたいなのをサークルの人から聞いて怖かった思い出。ほんとか?
いわば「初学者向けでかつ最速で留数定理に到達する本」だと思います。なんていうか「複素解析」ではなくて「複素関数論」です。要するにεとってδ取ってみたいな議論があんまりない。代数。
その分非常にとっつきやすいんですが、厳密性が犠牲になってることはあります。例えば一致の定理って連結性の厳密な定義がないとちょっと困ると思うんですが、そことか少し適当です。さらに言えばB1で読んでた時に気づかなかっただけでもっと適当な部分はあると思います。まあそれでも複素関数論の面白さは伝わるし...いい本です。エッセンスが書いてある。
あと数学科向けとしては少し物足りないかも。偏角の原理とかは本書のレベルを超えるもの扱いになってます。でもリーマン面の議論でも行けること多いしいいか。よくないか。
参考になった本で言うと以下があります。
無限積の議論とか参考にした気がします。
ゼミで読んで解析っぽくなかったと話しましたけど、正直後半はε-δでゴリゴリやりたい!という気持ちもあり、証明で不可解なところがあると参照しに行ってた気がします。
あとこれはネタバレなんですが、この本最後ヤコビ三重積で終わるんですよね。そこがまあ変な言い方すれば尻切れとんぼって感じで、楕円関数論めちゃくちゃやりたくなりました。しかし今に至るまで体系的にはやってない。なぜ...
そうこれね みんな読んでください 読んで何かいてるか教えて
これも読んでた、で言うとこれ
正直お気持ちがなんもわからんかったので印象がない...。
お気持ちって話ではないのかもしれないが、こう...触れておくだけでいいかなって...。
B2前期
サークルに本格的に関わりだしたので、「新歓ゼミ」(新入生を歓迎し、ゼミをさせる)の一環で杉浦解析を読むことになりました。
解析まともにやれてるのはこれのおかげといっても過言ではないと思います。マジで行間がないので、モチベがあれば読める本ではあります。ありますが、なんかこうのぺーっとしているので...ゼミで読もう。でもゼミで読むと行間ないからまとめる能力が問われる。
あと演習は普通にきつい気がします。僕がダメなやつなだけですか?そんなことないですよ 失礼な
これもちょっと読みました。4章まで読んで、ゼミが終わったのでそこまで...。
対角化が何か知ってれば読める、という感じだったので読み始めやすかったです。
有限群の表現論くらい手を付けねばと思いつつ、今まで保留に....
B2後期
位相空間論を講義でやったので、いよいよ幾何学ができる!となりまして、選んだのはこちら。
よい本です。実はまだ読んでます。
これも行間が全くない形の本です。
最初のベクトル解析とド・ラームコホモロジーのところでみんな1回感動するんだと思います。
上に記した通りモチベートの仕方もよくて、ワクワクさせてくれます。
いい点の裏返しになってしまいますが、難点としては「命題」がやたら多いです。つまり「定理」が全然出てこないので、1個1個ちまちま読んでると流れを見失う気がします。僕は1周目だしまあ良いかなと思って気にせず読んでますが...。
赤雪江にキリがついたのでここらで読み始めた気がします。ガロア理論ってみんなやってみたいですよね。
ゼミで読みました。一章の環論は楽しく読めたんですが、加群のモチベーションがイマイチわからず...。
今頃になって平坦性とか大事ですねになってます。
https://dept.math.lsa.umich.edu/~wfulton/CurveBook.pdf
上に引き続いて、W.Fulton "Algebraic curves"も読みました。
いわゆる古典代数幾何の本ですね。可換環論の知識は途中で補っていってくれるので、とても読みやすかったです。「手を動かして学ぶ代数幾何」って感じでした。
これも途中で止まってます。飽き性すぎる。
素数定理に興味がわいたので、Twitterで薦められたこの本を読みました。
行間開きがちな本を初めて読んだかもしれません。ひたすら評価!評価!評価!という感じだった気がします。整数論でもこんな解析ゴリゴリになるんだ、とびっくりしたのを覚えています。
B3前期
確か上の本でルベーグの収束定理が出てきて、どうせなら証明しておきたいな、と思ったのが読み始めたきっかけだったと思います。
まあなんていうか「これ読めるほど数学力ないよ君」と言われているようで苦しかったですが、Mathstackexchangeとにらめっこしながらどうにか読んでます。
測度論と関数解析の初歩と複素解析がまとまった本なんですが、後半(複素解析)を読んでいる人はあんまり見ないような...?
ルベーグ測度の構成は後に回して、まず一般の積分論を述べて、「ルベーグ測度とは実数体Rを加法についての位相群と見た時のハール測度のことである」のノリでルベーグ測度が構成されます。つまり確率論やりたい人には向かない本です。
ただその構成のおかげでモチベーションは保ちやすい気がします。
複素解析2冊目。二周したら理解度が深まる気がしましたのでこれを...。
これ内容がすごく豊富でいいですね。位相空間論が仮定されてるっぽい書きぶりですが、ユークリッド空間のそれなので知らなくても読めます。楕円関数論まで書いてあって、研究室のセミナーでも少し助けられました。
合宿で代数的トポロジーをやろう、という話になり、一章をパラパラ読んで読みたくなったのでこれに。多様体論への応用が最速って感じで、モチベーション保ちやすいです。
ただ特異ホモロジーから入るので難易度高めかも。気合で読みました。
B3後期
複素解析と多様体を混ぜると複素解析がよくわかるらしい、で読み始めた本です。
なんていうか「複素解析は幾何!」と言いたくなる本です。
とりあえず解析接続と被覆ガロア、有限性定理の辺りを目指してます。
予備知識も複素解析と位相空間論だけなので、リーマン面に興味があればぜひ。
院試勉強の一環で胞体分割をやらねばならぬ、ということでこれを。
とても読みやすいです。それはそれはとても...。
3章から読んでますが、とにかくストレスフリーです。
終わりに
読み切った本ほぼ無いことに気づいてしまいました。まあ読み切ることでなくて知識を得ることが大事なので...。
今気になってる本としては
とかもあります。あと応用数学とかもやってみたいよね...。
もう一つ記事を書く予定なので、そちらはちゃんと数学のことを書きたいですね。